お世話するという目線ではなく、共に歩み、共に生きる

介護老人保険施設アルカディアウェル
介護福祉士・クラブ委員長
亀井繁さん

知識よりまず想像力と思いやり「聴く」ことが全ての基本です

1996年の開所時から『アルカディアウェル』に勤めて25年。始めの4年間は介護福祉士として介助の職に就き、現在はクラブ委員長として利用者様に音楽や書道、生け花、園芸、美術などの14種類のクラブ活動を提供させていただいております。大学時代から、人と関わりながら温かい気持ちになれる仕事に就きたいと考えていました。地元に貢献したい思いもあり、亘理初の介護老人保健施設であるここに入りました。25年の間に体調を崩したり、震災で被災したり紆余曲折ありました。介護の仕事は専門知識も必要ですが、困難や挫折も含めた全ての人生経験が活かせる場所だと思っています。

日々大切にしていることはコミュニケーションです。介護とは人と人が共に生きていくこと。する側、される側に優位性などありません。だからこそ、利用者様の考えや思いに耳を傾けることが非常に重要です。体の痛みがあるのにリハビリなんかやっていられない!という方もいるでしょう。その思いをまず聴いて受け止め、何かをしてあげるのではなく、利用者様の立場に立って一緒にできることを考える。共に楽しみ、共に歩むことで信頼関係が築かれていくのだと考えています。居室で過ごす方に、今はこんな本がお好みかな?と選んで提供した時に「ちょうど読みたかった本だ!」と興奮して喜ばれたりすると、本1冊、私の行動一つでその方の1日の心持ちが変わるんだなと、こちらまで嬉しくなります。そんな体験一つ一つがやりがいに繋がっています。

毎朝の体操とクラブ活動から繋がる明日への意欲、生きがい、向上心

余暇の時間を使って継続的に行うクラブ活動は、単発で行うレクリエーションとはまた違った楽しさがあり、上達する喜びや達成感、向上心、さらには自信にもなります。例えば文芸クラブで俳句を始めたことで、今までは見過ごしていた季節感や、何気ない出来事にも目がいくようになり、日常での心のありようまで変わってくる。活動中の1時間にとどまらず、日々の生きる糧にも繋がっているのではないでしょうか。

毎朝の体操も欠かせません。1日の始めに日光を浴び、体を動かすことで心身が目覚め、血圧が安定したり、朝に行うことにこそ意義があります。参加は自由ですが、朝食が終わると自然と皆さんが私の周りに集まってきてくださって、楽しみにしていただいている様子。嬉しい限りですね。入所したばかりで慣れていない方や麻痺のある方は、うまく動けなくてもいい。そこにいるだけで他者を意識した良い緊張感が得られますから、傍らで見ているだけでもいいんです。「ここではありのままの自分でいいんだ」という安心感が、次のクラブ活動やリハビリへの意欲にも続いて行くと思っています。

自宅での介護は籠りきりになりがちで、施設やサービスを利用する選択肢はなかなか見えて来ません。私の祖母も認知症になるまで介護認定も受けず、母親が家で看ていました。また、知人がここを利用する際に「誰にも言わないで来た」と…。歳をとることは負い目ではありません。いつかは誰もが通る道。積極的にサービスを活用すればできることが増え、希望が広がることを知ってほしい。私達もさらに地域と連携しながら、開かれた施設として情報発信を続けてまいります。

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